葵花  フォロー 8 フォロワー 5 投稿数 90

うたよみんに投稿した歌を編集して移動させています。

長雨が止むそのときを見守る子猫窓の外には天国はない 

二年前からの想いを堰き止めたくて夕立を抱きとめる影 

完成したジクソーパズルを丁寧に壊していくのが好きだった人 

唯一の心残りは君の名を呼べなかったこと ルーズリーフ裂く 

どうなってもあなたはわたしではないしなにも伝えられない黄昏 

とめどないこの恋情は宛先不明で返送されますご注意ください 

眠れずにシーツの海で漂流すきみが迎えにきてくれればと思う 

いつまでもサビのない歌聴いている伸ばした右手はとらなくていい 

くだらない話をしようぜ飽きるまでふたりの体温融和するまで 

チョコミントとストロベリーの混ざる色昨夏に失くした初恋の色 

あと一歩が踏み出せなくて立ち尽くす両方向から電車が来ます  

どの夜もひとつだけ夢を支給します どうかあなたが溺れないように 

ワンルームから恋人の、あなたの残滓が消えてゆく明日になってゆく 

ささやきで満ちたミルクを一口分注ぐ零時のティータイム 

あなたには届かない声 エレベーターの行き先ボタンを押さないままで 

しんしんと夜に浸っている身体牛乳飲み干し白紙に戻す 

永遠はきみが持つそのレモネードのペットボトルの底に沈めた 

ああなんて絶望的な朝焼けで浅瀬で溺れるわたしを笑う 

あのときに感じた魔法みたいなものがとけてゆくのを見守る時計 

減ってゆく電池残量に追われつつ君がいた頃の動画見返す 

指先のメトロノームが測る距離フレーバーティーはやさしく冷める 

手のひらのバニラアイスを包みゆく暮色はオレンジ シロップのような 

気絶するように眠りつづけたい夜更けに小舟を浮かべていてよ 

永遠を抱擁しては君の目は夜の端まで差し貫いて 

この胸に灯るあかるさが生きていく糧だったんだと悟る夜更けに 

落ちていけその暗闇の向こうへと笑っても光っても夜は暗闇 

左手が失くした熱を求めては煙草を吸うのか息をするように 

僕をかき抱く腕の深すぎる冷たさよまるで海みたいなひと 

テーブルに置かれたままのキウイ三つ 沈む日を差し込めば食べ頃 

ゆるやかな暮らしの中に君がいるだけで陽光そそぐキッチン